行政書士・海事代理士の前田智也です。
本日は、産廃のアスベストについて、取り上げます。
アスベストは「いしわた」とも呼ばれるとおり、綿のように軽く、
石のように熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持ち、
さらに安価であることから、「奇跡の鉱物」と呼ばれ、主に建材として使用されておりました。
その繊維は極めて細く、アスベスト1本の直径は0.01ミクロン~1ミクロン程度であり、
髪の毛の約5000分の1の細さといわれています。
ここまでくると、もはやどれぐらい細いかわからないですね。
ただ、細かすぎるがゆえに、肺に入ってしまうと、健康に悪影響を及ぼすことがわかり、
昭和50年に原則、使用が禁止されました。
今でも古い建物には、アスベストが残っており、これらを解体すると、
アスベストが含まれた産業廃棄物の処理の問題が発生する訳です。
令和3年に大気汚染防止法という法律が改正されたことにより、
「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」も改正されました。
このマニュアルは環境省が作成しているものです。
このマニュアルの改正により、汚泥の取り扱いが、変更となりました。
簡単にまとめると、以下のようになります。
石綿含有吹付けパーライト及び石綿含有吹付けバーミキュライトは、
健康上のリスクが一番大きいレベル1に該当するため、「特別管理」のままです。
もともと、「特別管理」の中に入っていた吹付け工法で施工された石綿含有仕上塗材は、
アスベスト有の普通産廃扱いとなりました。
さらに、吹付け以外の工法で施工された石綿含有仕上塗材は、もともとアスベスト有の
普通産廃扱いであったため、変わらず普通産廃扱いです。
さて、ここからが行政手続きに関わるお話です。
普通産廃のアスベスト有は、愛知県では、
「廃プラスチック類」、「がれき類」、
「ガラ陶(ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず)」の
3種類でした。(各自治体によって、取り扱いが異なります)
そこに、4種類目の「汚泥」が加わりました。
ということは、今まで、アスベスト有・無の区別をしてこなかった汚泥が、
今後は、アスベスト有・無を区別することになります。
マニュアルが改正された後の汚泥の取り扱いは各自治体に委ねられており、
東海三県の対応もそれぞれ異なります。
愛知県では、取り扱い変更後(令和5年11月)より、初めて更新を迎える際に、
アスベスト有の「汚泥」を取り扱うか否かを選択し、変更届or廃止届の提出が
求められます。ただ、変更届を提出できれば、アスベスト有の「汚泥」の
運搬が可能となります。
三重県は、現段階では、「汚泥」のアスベスト有・無を区別しておりません。
つまり、「汚泥」の許可を持っていれば、アスベスト有・無のどちらも運搬可能です。
岐阜県はと言うと、マニュアル改正前から、
紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び
陶磁器くず、がれき類、燃え殻、汚泥、廃プラスチック類について、アスベスト有・無を
区別していたため、改正されようが、関係ありません。
そのため、アスベスト無の「汚泥」の許可を持っていた事業者は、
環境省のマニュアル改正により、アスベスト有で運ばないといけない事態が生じると、
事業範囲の変更許可申請を行わなくてはなりません。
届出よりも許可申請の方がはるかに、大変です。
東海三県でもこれだけ取り扱いが異なっているため、
他の都道府県についても、申請をさせる際は、十分に調査をして、
手続きを行ってくださいね。
お困りの際は、是非、ご相談いただければ幸いです。
廃掃法や自動車リサイクル法などの環境法令は、本当に奥が深く、
日々、事業者様より、現場のことを、たくさん学ばせて頂いております。
本日は、ここまでです。
ありがとうございました。